研究概要 |
まず強い異方性積層構造を持つ自動車タイヤが接地しながら転動するときの強制振動応答を解析するために、回転するタイヤのモデリングについて検討した。その結果、一次せん断変形殻理論に基づくせっ頭円錐殻要素を用いた有限要素法により、一般軸対称殻であるタイヤを変肉厚のせっ頭円錐殻要素の集合として近似することとした。以上の方針に基づき、まず内圧,トルク,面内圧縮力のような初期荷重が作用し、回転する一般軸対称殻の過渡的強制振動応答を解析するための数値解析法を開発し、実際に回転する部分球殻,せっ頭円錐殻に衝撃荷重が作用する場合の過渡的強制振動応答を解析し、古典理論(薄肉殻理論)による場合と比較することにより開発した手法の妥当性を検討した。 次の段階として、上述のモデルに減衰の影響を取り込み、定常的強制振動応答の数値解析法の開発を行った。すなわち、実際にデータとして与えられるのは非回転時のタイヤのモード減衰比であることから、固有ベクトルを用いて減衰マトリックス[C]を逆構成し、さらにこの[C]にジャイロ項を加えてM-C-K基礎方程式系を導出し、高次モードを省略するためにこの方程式系を状態空間表示し、右固有ベクトルと左固有ベクトルを用いてモード解析し、高次モードをtruncateして定常的強制振動応答を解析する数値解析手法を開発した。さらにこれを回転円筒殻の場合に適用してプログラムの妥当性の検証を行った。 今後は、上記手法を実際の転動タイヤに適用してその定常的強制振動応答を解析し、その振動応答値を境界条件として境界要素法による音響放射音圧を解析する数値計算法のプログラムを作成して計算を行い、解析結果に基づいて自動車タイヤの騒音発生メカニズムの解明を行う予定である。
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