ER流体を用いた可変摩擦減衰機構を有する可変減衰型動吸振器の開発を行い、その特性を実験的および数値計算により明らかにした。ER流体が加える電場により制御できるのは流体の降状応力であることを考慮して、流体の特性を十分引き出すために、一対の電極間にER流体を注入し、電極がせん断方向に相対的に振動して摩擦減衰を生成する機構の設計を行った。試作した後に、まず動吸振器単体での性能評価を行った。 実験結果は研究代表者が現有するデータ処理システムを用いて解析した。このシステムはノートプック型コンピュータとAD/DAコンバータカード、およびリレーショナルデータ処理プログラムn-Visionからなっている。このシステムにより、自動的にデータの収集および統計解析が行われた。さらに3層からなる構造模型を製作し、最上階に可変減衰機構を有する動吸振器を設置し、複数の振動数成分を有する外力が加わっても単一の動吸振器で構造物の振動抑制が可能なことを実験的、数値的に示した。 制御系はインテリジェント化を考慮してニューラルネットワークを適用し、構造物の動特性が変化しても各時刻で特性を同定し、制振性能を維持できることを実験的に明らかにした。
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