研究概要 |
機械・機器の高速化,高性能化,軽量化の要求とともに,対象物の精度よい数学モデルを作成する実験的同定法が重要となっている.回転機械に対する実験的同定法は,往復運動する機械・機器の実験的同定法と比べて大きな相違点があるので,この研究では,回転機械に対する実験的同定法の確立を目的とした. まず簡単な問題として,一つの円板と回転軸からなる回転軸系を取り上げ,この系に対する基礎的な検討を行った.実験的同定法には時間領域のデータを利用するものと振動数領域を利用するものがあるが,この研究では,時間領域のデータを利用する実験的同定法を提案した.次に実験装置を作成し,提案した方法で実際に同定できることを確認した.実際の実験によるデータを用いるとき,ノイズによる精度の悪化に対する対策の必要を感じたので,これに対する対策を誤差の最小化問題として定式化し,解決した.これらの結果を,米国で開催されたSeventh Conference on Nonlinear Vibrations,Stability,and Dynamics ofStructuresで発表した. 以上の基礎的検討に続いて,提案した方法を実用的なものとするための検討を行った.対象を,簡単なものから複雑なものへと拡張するための手段として,有限要素法との結合を考え,良好な結果を得た.これについては,現在発表を準備中である.
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