| 研究概要 |
本年度は,主として,円筒容器をもつ弾性構造物が鉛直方向の正弦加振を受け,容器内液面に軸対称スロッシングモードが励起される場合を対象とし,構造物と液面の非線形達成振動について理論的,実験的に調べた.その結果,以下の知見を得た.
(1) 理論解析では,流体力の非線形性を考慮し,ガレルキンの方法を用いて系を支配する偏微分方程式系を常微分方程式系に変換し,さらに調和バランス法の原理に基づいて構造物と液面の変位に対する共振曲線の式を近似的に導いた.
(2) 構造物と液面スロッシングの固有振動数の間に2:1の同調条件が満たされる場合,構造物と液面の変位応答には,それぞれ調和振動,1/2次分数調波振動が現れる.
(3) 液体の深さが減少するにつれ,構造物の共振曲線はピークをもつ形状から平坦な形状に変化する.
(4) 同調条件にずれが生じると,振幅が変調する概周期振動が発生する.液深が深い場合には,離調パラメータが正のときにのみ概周期振動が発生する.
(5) 円筒容器内の液面挙動と構造物の達成振動の挙動は,長方形容器を用いた場合と類似している.
(6) 実験では,理論結果と定量的にほぼ一致する共振曲線が得られた.また,概周期振動の発生が観察された.
来年度は,容器内液面に非軸対称スロッシングモードが励起される場合を対象とし,液面の旋回運動を考慮した理論解析を行い,その解析結果を実験結果と比較する.また,液体ダンパーとしての最適な容器寸法,形状を検討する予定である.
|
