浮遊型宇宙ロボットの自律分散制御に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650245
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 加藤 了三 九州工業大学, 工学部, 教授 (20148761)
• 研究分担者: 相良 慎一 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50235199)
• キーワード: 宇宙ロボットマニピュレータ / 自律分散制御 / 分解速度制御

研究概要

本研究は、マニピュレータをもつ複数台宇宙ロボットによる浮遊物体操作のための自律分散型制御法の確立を目指している。今年度は、対象とするロボットシステムを、複数台のロボットマニピュレータが並列の形で対象物体を把持するシステム(これをパラレルシステムと呼んでいる)とした。今年度行った研究内容と、その主な結果は以下のとおりである。
(1) パラレルシステムを自律分散型システムとして扱うことの可能性を検討するために、宇宙マニピュレータの制御を考える上で重要な一般化ヤコビ行列を解析した。その結果、このシステムが完全に自律分散型システムとして扱うことが可能であることがわかった。また、このことの実行可能性を計算機シミュレーションにより確認した。
(2) パラレルシステムの運動を2次元平面内で実現するシミュレータ(SMART-IIIと呼んでいる)を制作し、この実験装置を用いて、提案した制御法の有効性を実験的に確認した。
さらに、
(3) 対象物体の物理パラメータが未知の場合を想定し、この物理パラメータ値を推定する適応同定機構を持つ制御法を考案した。そして、この方法の有効性を、計算機シミュレーションと上述のシミュレータSMART-IIIを用いた実験により確認した。
(4) パラレルシステムを自律分散システムとして構成することにより、故障に強いシステムとすることが可能であることを、計算機シミュレーションと実験により確認した。
(5) パラレルシステムを自律分散型システムとして扱う場合の、宇宙ロボットマニピュレータの一般化ヤコビ行列を解析することにより、このマニピュレータの特異姿勢を求めた。その結果、いくつかの興味深い結果が得られた。例えば、この姿勢は、対象物体の物理パラメータには依存しないことがわかった。

研究成果

• [文献書誌] R.Katoh 他4名: "Cooperative Manipulation of a Floating Object by Some Space Robots with Manipulator:Characteristics as a Distributed System" Proc.of 4^<th> Japan-France/2^<nd> Asia-Europe Congress on Mechatronics. 261-266 (1998)
• [文献書誌] S.Sagara 他3名: "Digital Sensory Feedback Control for Space Manipulators" Proc.of 4^<th> Japan-France/2^<nd> Asia-Europe Congress on Mechatronics. 249-254 (1998)
• [文献書誌] S.Sagara 他5名: "Adaptive RMRC for Cooperative Manipulation of a Floating Object by Two Free-Based Space Robots" Proc.of 1998 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS'98). 1467-1472 (1998)
• [文献書誌] S.Sagara 他3名: "Digital Adaptive Control of Space Manipulator Having Input Constraints" Proc.of IROS'98. 1449-1454 (1998)
• [文献書誌] J.Kobayashi 他2名: "Analysis of a Workspace and a Manipulability Measure in Operations by two Space Robots" Proc.of 8th Workshop on Astrodynamics and Flight Mechanics. 101-106 (1998)
• [文献書誌] 小林 順 他2名: "複数台の宇宙ロボットによる浮遊物体の制御" 日本機械学会論文集C編. 64巻 628号. 4710-4716 (1998)