周波数領域上でのプラント情報を利用する非線形計画法にもとづく適応的制御系設計法

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650246
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 岩井 善太 熊本大学, 工学部, 教授 (40026109)
• 研究分担者: 水本 郁朗 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30239256)
• キーワード: 多変数PID制御 / PID制御 / 周波数適応制御 / 線形制御器 / オートチューニング / 振動制御 / 2次計画法

研究概要

本研究は、線形な多入出力システムに対する多変数制御器を、周波数領域上の有限個の周波数応答から、制御対象の厳密な数学モデルを利用することなく決定しようとしたものである。本年度に得られた主な研究成果について以下に述べる。
1.理論的展開。筆者らは既に最小二乗法に基づく周波数領域上でのPIDコントローラパラメータ調整法について提案を行っていたが、本年度はは、それを以下の場合に拡張した。1つは、分散型制御系としてコントローラが設計できるようにしたことであり、2つ目は、これまで検討されていなかった制御系の安定性を保証するように、パラメータ調整問題を制約条件付2次計画法に置き換え自動的に安定性の保証された多変数PIDコントローラパラメータ調整が周波数領域上で自動的に実行できるようにしたことである。前者は、JSME Int.Journalで報告し、後者については北京で開催された第14回IFAC(国際自動制御連盟)世界大会で発表している。また、PIDを一般化した線形コントローラ調整法についても提案を行っている。
2.実験的検討。上述の手法は、倉庫内搬送車のアクティブ振動制御に応用され有効であることが検証された。この搬送車は構造上剛性を高めることができないシステムであり、高速で使用する場合の振動発生が問題となる。ここでは、3入出力系として把握し、9個の線形コントローラをスペクトル解析から得られたデータで一挙にチューニングすることで優れた制振効果が得られることを確認した。また、同様の手法を多層構造物の振動制御に適用して好結果を得ている。上記成果は、日本機械学会論文集(C編)、Asia-Pacific振動会議、日本機械学会学術講演会等で報告した。
以上研究課題に即し、理論的展開とその実用性に関する検証を行い、所期の成果を得た。

研究成果

• [文献書誌] 水本郁朗 他3名: "Cecentraliged PID Control Systems Design on Frequency Domain and their stability"JSME Int.Journal,Series C. 42・1. 93-101 (1999)
• [文献書誌] 岩本善太 他4名: "周波数領域での部分的モデルマッチングによる倉庫内搬送車のアクテイブ振動制御"日本機械学会論文集(C編). 65・640. 4677-4684 (1999)
• [文献書誌] Z,Iwai 他3名: "Design of Multivariable PID Controllers on Frequency Domain"Proc.14^<th> IFAC World Congress. C. 295-300 (1999)
• [文献書誌] J.Wang 他2名: "Decentraliged Active Vibraticn Control Systems for Multi-Degree-of-Fredom Structures"Proc.14^<th> KACC. E. 230-233 (1999)
• [文献書誌] J.Wang 他4名: "Active Vibration Control of a Carrier in Ware house based on Multivariable Linear Controiler Design"Proc.Asia- Pacific Vibration Conference '99. 1. 553-558 (1999)
• [文献書誌] M.Takahashi 他3名: "Multivariable Adaptive Model Output Following Control System Based on Backstepping and its abblication"Proc.1999 IEEE Conference on Control Application. C. 1241-1248 (1999)
• [文献書誌] 岩井善太 他2名: "制御工学"朝倉書店. 174 (1999)
• [文献書誌] 岩井善太 他2名: "振動工学の講義と演習"日新出版. 200 (2000)