通常、ロボット経路制御などのメカニカルシステムの制御においては最終的には与えられた経路を追従することが要求され、その速度は経路追従を満たす範囲でできるだけ速いのが望ましい。このように経路制御はサーボ系の性能を考慮した上で、サーボ系にとって無理無駄がないように行う必要がある。さらには、あらかじめ目標物や障害物などとの距離と方向の情報が既知であったり、わからない場合でも画像センサや超音波センサなどを用いたアクティブセンシングを行うと、事前に未来情報(予見情報)として得ることができる。このような観点から理想的な経路制御を行うためには未来情報を獲得するためのセンシング、獲得した未来情報を利用した経路制御と言った要素をトータルシステムとして扱うことが必要となる。 この中で本年度は昨年度に引き続き未来情報が既知の場合の新しい経路制御の理論検討およびその応用についての検討を主に行った。昨年度は目標経路が円や直線なども含む任意閉曲線で与えられることが予見可能な場合に、座標軸を軸伸縮することで単位円に帰着させて経路制御を行うベクトル分解経路制御法を提案している。しかしこの場合には目標経路が開曲線で与えられる場合や3次元空間への適用が課題として残されていた。そこで今年度は目標経路が開曲線の場合には軸伸縮を行い、直線経路に帰着させて経路制御を行う方法を提案している。この方法と昨年度までの方法を組み合わせることにより閉曲線、開曲線にかかわらず本質に近い経路制御が実現できる。さらに今年度は3次元空間の任意曲線に対しても、水平角度と垂直角度の経路制御でベクトルの方向を決め、その大きさで経路制御を行う本質的な3次元ベクトル分解経路制御を提案し、XYZテーブルやロボットマニピュレータへの応用により、その有効性を検討している。
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