研究概要 |
平成10年度は,非ホロノミック宇宙ロボットの宇宙作業を3次元空間において視覚表示できるシミュレータを開発した。これにより,地上あるいは宇宙ステーションに設置されたマスターロボットと宇宙ロボットとの相互通信を可能とする実験システムを構築することができた。具体的には,オペレータによって操作される双腕4自由度マスターロボットを試作した。このマスターロボットはダイレクトドライブ駆動のアクチュエータによって駆動され,オペレータに反力を伝達できる様に設計した。パソコン上に3次元動画像として宇宙ロボットを表示し,宇宙動力学に従うあらゆる挙動のシミュレーションが可能なシステムを構築した。ここで,マスターロボットとパソコン上の宇宙ロボットはデータ入出力ユニットを通してバイラテラル結合され,互いに情報の通信が可能となるように設計された。 平成11年度は,前年度に開発した遠隔操作シミュレータを用いて実験を行い、申請者がこれまでに非ホロノミック宇宙ロボットの単独システムに対して設計した制御手法を拡張し,オペレータとの協調作業を円滑に実行する遠隔操作制御系の設計法を開発した。ここでは,宇宙ロボットの仮想反力という新たな概念を導入し,この反力によってオペレータ力を制御する手法を提案した。即ち,宇宙ロボットの姿勢を変化させるようなオペレータ力を相殺し,安定性を保ちながら手先軌道をマスターロボットに追従させる制御系の設計法を開発した。これにより,オペレータは宇宙ロボットの姿勢を変化させることなく,宇宙ロボットに目標の作業を実行させることができる。
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