研究概要 |
1 6自由度マニピュレータのあいまい行動型制御系の作成については,特に障害物回避のための情報量が多いことと,手先の速度情報を利用して関節座標で速度を求める場合には,通常逆運動学を利用しなくてはならない。このことから,今回はマニピュレータの自由度を3に落とし,関節情報を直接用いて関節座標系での力またはモーメントを推論する2つの行動群,および手先情報を直接用いて関節座標系での力を推論する1つの行動群を構成し,それらの結果を競合協調させ,最終的に順運動学のみを利用して関節トルクを求めるあいまい行動型制御手法を提案した。また,手先位置軌道の制御と障害物回避を同時に決定する遺伝的アルゴリズムによる最適化を実施し,良好なシミュレーション結果を得た。 今後は,この手法をさらに6自由度に拡張してゆく予定である。 2 3Dアニメーションの作成は,上記の理由から今回は保留とした。次年度は,上記の結果をうけて一気に6自由度のアニメーションを作成する予定である。 3 ビジュアル・トッラキングのためのカメラサーボシステムは,今回は予算の制限のため安価な人工網膜チップセンサカメラを用いた静的な位置計測システムについて検討した。人工網膜チップセンサカメラから得られる既知の2次元位置にある静物体の画像情報をニューラルネットワークで学習させることで,位置計測システムを構成した。その結果,学習データに対しては1cm以内の誤差に収まったが,テストデータに対しては数cmの誤差となることが分かった。また,人工網膜チップセンサカメラはCCDカメラに比べてバックグラウンドの明るさは低くても十分利用できるが,移動物体に対しては焦点調整の致命的な遅れがあることが判断した。このようなことから,高速運動するマニピュレータの手先あるいは関節等のトラッキングには不向きと判明した。よって,次年度は早急にCCDカメラを用いたアクティブビジョントラッキングシステムを設計する予定である。
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