研究概要 |
従来の産業用マニピュレータでは,ロボットの知能部は我々が作成し組み込まなくてはならない.本研究では,実際の高価なマニピュレータを用いないで3次元シミュレーション技術およびビジュアルセンサ技術によるシミュレータを構築することで,ロボットへのタスク命令と衝突回避等の制約条件を与えるだけで,ロボット自身で与えられた作業に相応しい制御系をシミュレータ上で獲得させようというのがねらいである.高自由度マニピュレータの障害物回避まで含めた制御系シミュレータをニューラルネットワーク手法やファジィ推論技法で直接獲得しようとすると,膨大なネットワークや指数的に増加する制御ルールが必要となり,大変厄介な作業となる.本研究は,その問題点を我々の研究室で提案している「あいまい行動型制御法」で解消しようとしたものである.具体的な成果は以下の通りである. [1]6自由度マニピュレータをPUMA型と仮定して動力学情報を用い,(a)直接制御系(つまり,各関節のトルク情報)を獲得する場合,(b)既にロボットマニピュレータシステムにある直交座標系でのサーボ系が組み込まれているとし,障害物を回避しながら目標位置軌道への行動を取らせるための「軌道生成」をあいまい行動型制御手法で発生させる方法を考察し,良好な結果を得た。また,これらの事実を考慮し,従来法のように運動学のみを用いる,障害物回避を伴う位置軌道制御のための「軌道生成」にも応用し,同様に良好な結果が得られた。 [2]3Dアニメーションでは,OpenGLで再現する方法を検討した。時間的な都合により,2台のコンピュータをLANネットワークを通して通信および制御できることを簡単なアニメーションで検証できたことから,将来の仮想空間アニメーションの通信制御に利用できることが分かった。 [3]ビジュアル・トッラキングのためのカメラサーボシステムは,4自由度両眼型を試作し,運動学に基づく制御系の開発を行った。特に,制御対象の動力学の影響やサーボドライバがトルク指令型であるのでその変換ゲインを補正するためのRBFニューラルネットワーク(NN)を補償機構として採用することで,誤差低減化に有効であることを示した。
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