カラーカメラから出力されるRGB画像は、それぞれ「赤」、「緑」、「青」の色バンドパスフィルタを通して得られた濃淡画像であると考えられる。そのため、従来のRGB画像を用いた色画像処理では、白黒画像処理を3枚の濃淡画像に施した後、得られた結果を各画素においての論理演算により融合する処理が必要となる。その結果、長い処理時間に見合った結果が得られる場合が少なく、色画像処理が実用的段階にあるとは言い難い。本研究では、色画像処理の一手法として、従来のRGB画像処理の簡略化と高速化を目指した融合色情報による画像処理を行った。色の表現をRGBに代えて、「色相」、「クロマ(彩度)」、「明度」の色に関する3属性を用いた。さらに、これら3属性を一括して取り扱うことを可能とし、また、演算プロセッサの整数演算機能を有効に活用して高速演算が可能となるようにするため、3属性を融合して16ビットの新しい信号を定義した。それぞれの色属性の重要性を左右するビット配置は、画像処理の対象となる局所画像の色属性値の統計的分布により決定し、画像処理結果の精度向上を図った。 提案手法を、(1)移動ロボットの視覚センサを目指したカラー・レンジ・ファインダの開発、(2)超広角視覚センサによるランドマーク認識、(3)カラーCCDカメラを分光計として応用した二酸化炭素ガス濃度計測システム、に適用して有効性の確認を行った。高速化を図るために試作したRGBからの変換用電子回路には、信号変換の安定性やノイズの抑制など改良すべき点が多く実用性について十分に評価できないが、基礎技術としての有効性は確認できた。これらの技術をさらに改良することにより、実時間処理が可能な実用的色画像処理が可能になると期待される。
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