平成8年度科研費研究(課題番号08750324)で考案した半導体化インパルス発生装置では、2段目以上のスイッチが自動的に動作するため、装置構成が簡便なものである。本研究では、このスイッチング動作が可能な条件で、さらに充電時間を短縮し高繰り返し可能な電源の開発を行った。 平成10年度には、1)共振充電方式も可能な高速充電方式の提案、2)提案方式の実証、3)提案回路方式の設計方法、及び問題点の収集、を行った。その内容は以下の通りである。 1) 高速充電が可能な回路方式の提案 本研究の初めには、ダイオード(以下D)とインダクタンス(以下L)を用いた方法を考案したが、インパルス電圧発生時の誘導の影響などにより、Lを用いないDのみをの方式を考案した。特に、2段目以上のスイッチを自動動作させるために、1μs以内の短時間のみ動作するDを付加し、また、充電時の抵抗を完全に無くすため、従来のマルクス回路とは異なった充電経路の回路方式とした。 2) 提案方式の実証 充電時の損失の小さい共振充電方式を利用した5段の回路を試作し、従来100msであった充電時間を50μsに高速化し、繰り返し率4kHz、充電電圧1.5kvにおいてピーク出力電圧6kvの出力が得られた。 3) 提案回路方式設計法および、問題点の収集。 提案した回路方式で用いられる多数のDについて、印加される最大逆電圧、流れる最大電流値、また、サイリスタを繰り返し運転するために速やかにOFFするための回路の条件、2段目以上のトリガ回路における電源の問題等の知見を得た。
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