本研究の目的は、従来ギャップスイッチを用いて構成されていたインパルス電圧発生装置(以下IG)のスイッチを、半導体スイッチに置換え、長寿命、高信頼性、高繰り返し運転などの高機能性を有する半導体化IGの開発である。今年度は、平成10年度の成果により、提案した回路方式、充電方式の妥当性、有効性が確認されたので、数kHzの繰り返し動作が可能で、60kV程度の出力が可能なIGの開発を目標に、以下の点に重点をおいて研究を行った。 1)予備充電が不要な自己完結的ゲート回路の開発 2)大容量化 3)充電投入スイッチ回路の高電圧化 それぞれの研究成果は以下の通りである。 1)各段のゲート回路の電源用コンデンサも、IGのコンデンサの充電と同時に行う回路方式を開発した。それに伴い充電およびトリガー時の誤動作が生じないよう回路方式を改良した。これにより、・繰り返し周波数(放電間隔)、・繰り返し動作回数、・充電電圧の影響を受けない動作が可能となり、また、ゲート回路での損失も小さくすることができた。 2)開放出力電圧が1段当たり2kVのIGで、昨年までの5段の回路から20段までに増設し、低い充電電圧(定格の1/2)での条件で正常に動作すること、およびダイオードを含めた各素子に過大な電圧がかからない事を確認した。 3)ON/OFF機能が必要な充電投入スイッチとしては、比較的入手しやすい定格電圧が1kVの素子を直列接続し、適切なスナバー回路備え高電圧化を図った。
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