本研究では、高繰り返し動作が可能な半導体化インパルス電圧発生装置(以下IG)の開発を行った。得られた成果は以下の通りである。 1.高効率・高速充電方式の提案 従来の用いられていた抵抗部分をダイオード素子に置き換えることで低インピーダンス充電方式を開発した。特に、本方式では、このインピーダンスの抵抗成分が原理的に0Ωであり、また、2段目以上のスイッチが、1段目のスイッチを動作させることで、従属的に動作するため、2段目以上のゲート回路を非常に単純化できるという特徴を持っている。 次に、この低インピーダンス性を生かしたL-C共振充電方式を適応し、また、その制御スイッチとしてIGBTを利用することで、充電電圧をその充電期間で可変にできることも含め、高効率で制御性の高いシステムを開発した。 以上の結果、共振充電用L=500μH、1段のコンデンサC=0.1μFの5段の半導体化IGを作成し、理論値通りの50μsという高速充電性能を実証した。 2.改良型ゲート回路の開発 繰り返し動作を考慮し、IGのコンデンサを充電する際に、ゲート回路の電源用コンデンサも充電する方式を開発した。これにより、定常的な繰り返し動作が可能となった。ただし、このゲート回路の場合に回路の素子値の設計裕度が非常に狭いという欠点があった。そこで、新低インピーダンス充電回路の特徴を利用することにより、素子パラメータの調整範囲を大幅に広げることができるゲート回路方式を開発した。 最後に以上の充電回路およびゲート回路を利用することで、5段のIGにおいて、4.5kHzの繰り返し動作を、また、20段IGにおいては、充電電圧の11.8倍の出力電圧を得ることができた。
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