放電プラズマの空間的非一様性に関して、本年度は実験及び理論的な研究を行い2つの結果を得て学会誌に掲載した。 1. 低圧(数mTorr-10mTorr)Ar-O_2気体を用いてDC放電のプラズマを発生し、円筒形の表面磁場装置内に閉じ込めた。このプラズマの半径方向の変化をプローブを用いて計測した。その結果、O_2の負イオンはプラズマ電位の半径方向への降下に伴って、中央部分にトラップされること、電子は容器全体でほぼ一様となっていることを明らかにした。放電電流と、正イオンおよび負イオン密度、電子温度、電子と負イオン密度比、半径方向の負イオンの存在する長さ、との関係をグローバルモデルを用いて説明した。理論計算と実験結果とはよく一致した。 2. 低圧(数10mTorr以下)N_2中でDC放電で発生したプラズマを円筒容器内に拡散させて維持するプラズマについて、プラズマの軸方向の拡散に伴う変化と電子エネルギー分布の変化をプローブを用いて計測した。特にプラズマの拡散に伴って起こる電子エネルギー分布上のくぼみ(デップ)が拡散に伴って軸方向の距離と共に、深くなることが明らかにされた。これはN_2分子の振動励起によって、この励起に対応するエネルギー範囲の電子エネルギーが、失われることに起因する。電子エネルギー分布の変化は、N_2分子と電子の衝突断面積を用いボルツマン方程式を解いて得られる結果と一致した。
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