コージェネレーション、非常用発電機、独立電力事業者(Independent Power Producers;IPP)などの分散電源の系統連系において、短絡容量の小さい商用系統で落雷、地絡などによる事故が発生した場合に分散電源から系統に向って短絡電流が流れて自家用発電機系統に一時的に電圧低下が発生したり、分散電源が系統と共倒れになることが考えられる。そのような場合への対策として、分散電源と商用系統との一時的な切り離しを行う方法も考えられ、実用化されているが、本研究では系統事故時に分散電源と商用系統との切り離しを行わず、系統と連系したまま短絡電流の抑制と同時に分散電源設置系統の電圧低下の防止を行う方法について検討した。本方式では、系統の異常時には自動的に短絡電流抑制と電圧低下を防ぎ、系統が正常に復帰後は自動的にもとの運転状態に戻る。平成10年度はこの方式の原理を示し、シミュレーション結果および実験結果を示したが、平成11年度はさらに装置の低コスト化のために超伝導コイルのインダクタンスの低減および回路の簡素化について検討した。すなわち、超伝導コイル保護のために設置される保護抵抗を用い、限流時の装置への流入エネルギーを保護抵抗とチョッパ回路で吸収し超伝導コイルのインダクタンスおよび装置全体の電流容量を低減した。これにより、装置をより使いやすく出来る高温超伝導コイルの適用について見通しを得た。また、この方法により、平成10年度に設置していたPWMインバータを設置せずとも限流時の電圧低下を防止できる。また、商用系統側の事故のほかに分散電源系統側に事故がある場合にも本方式は有効であり、商用系統側に影響を与えないように故障電流を限流できる。その他の特徴として本方式は限流の応答速度が他の方式に比べて高速であること、故障電流検出装置が不要であることから誤動作が無いこと、が挙げられる。
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