研究概要 |
太陽光発電は,無尽蔵の太陽エネルギーを利用できる反面,発電出力が天候に左右されるという欠点を持つ。それゆえ,船舶等に搭載する場合,ディーゼル発電機等とハイブリッドシステムを構成する必要がある。このとき,太陽光発電電力があらかじめ予測可能であれば,効率的なシステムの設計・運転が行える可能性がある。今年度は,太陽光発電電力に最も大きく影響を与えるシステム上空を通過する雲について,その動きを視覚機能を用いて予測する基礎手法の開発,および,実験を行った。まず最初に,神戸商船大学に既に設置されていた太陽光発電システムを用いて発電出力や日射量などの基礎データを蓄積するとともに,動画像を入力できるシステムを構築し上空の太陽周辺の雲の動画像データを取得した。次に,これらの取得データをもとに,動画像中から雲の移動方向と速度を検出し,その雲が太陽に今後どのように影響を与えるかを考慮し,数分後の天候を「晴」か「曇」で予測する手法を開発した。そして,本手法による結果を実際の日射変動と対比させ予測精度について検討した。その結果,本手法には雲の移動速度の検出精度等の改善余地が残されているものの,大きな日射変動の有無については十分に予測可能であることが確かめられた。さらに,日射変動の有無だけではなく,発電電力を推定するための基礎研究として,本手法を拡張した短期間の積算日射量を求める研究,また,季節や天候毎による日射量の違いの解析などを行い,成果を挙げつつある。今後,これらの研究を続け太陽光発電電力推定の基礎手法を確立させる予定である。
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