研究概要 |
船舶に太陽光発電とディーゼル発電機とのハイブリッドシステムを搭載した場合に効率の良いシステムの設計と制御を行うために,太陽光発電電力を予測する研究を続けている。本年度は以下の研究成果が得られた。 1.新しい予測方法の検討:これまでの研究では太陽光発電電力(日射量)の変動や,日射量積算値を予測できるのは数分後の状態までであった。これに対して,全天カメラの映像を解析して得られた全天に占める雲の割合と太陽高度による日射量の1日の変化の予測とから,数時間の日射量積算値を予測する手法を検討してきた。本年度は,この手法を基に日射量の実測を取り入れ,単位時間毎(例えば,1時間毎)の日射量積算値を1日分予測する方法を考案した。さらに,本手法を用いて2000年の1年分の日射量データを用いて予測を行い,良い精度で予測できることを確かめた。 2.発電電力の予測結果を利用したハイブリッド発電システムの運転法に関する検討:太陽光・ディーゼルハイブリッド発電システムにおいて,太陽光発電の発電電力が予測可能となった場合に,どのようにシステムを運転すれば,ディーゼル発電機の排気ガスを抑え,太陽エネルギーを有効利用できるのかを検討し,短期的な太陽光発電電力の変動を予測した場合,および,1日単位の太陽光発電電力量を予測した場合の基本的なシステム運転方法を提案した。また,実測の太陽光発電電力のデータを用いてシミュレーションを行った。 以上の成果により,太陽光発電電力の予測とそのシステムへの応用に関して研究の基礎がほぼ完成した。今後は,それぞれの基礎技術を統合して,船舶搭載に最適な太陽光・ディーゼルハイブリッド発電システムの構築・運用方法を確立することが課題である。
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