研究概要 |
本研究では、MATLAB/Simulinkを用いたシミュレーションにより電流制御の有無による制御特性の差違について検討を行った。電流制御のない従来のシステムでは、d軸電圧を0にしてもd軸電流を完全に0にすることはできないこと,電流制御を付加することで電流応答が高速化されるのみならず速度制御および位置制御系の安定化にも有効であることを確認した。さらに,ディジタル制御される電圧形PWMインバータをMATLAB/Simulinkで利用可能な可変離散時間系として扱うことで,高速・高精度のシミュレーションが実現可能なシミュレーション手法を開発し,その妥当性・有用性を確認した。本手法を用いることで,従来のシミュレーションにおいて演算誤差のために発生していた推定位置の誤差をなくし,しかも従来の方法に比べて10倍以上高速に演算可能である。 一方,IMPモータの駆動システム(3.7kW)の設計・試作も行なった。DSPを用いたディジタル制御系に用いる高調波電流の検出回路とPWM信号発生回路ならびにそれらのインターフェース回路を独自に開発した。さらに,先に提案した位置推定法に適するPWM制御法において,重み係数という概念を導入することでインバータの電圧利用率を15%改善できることを実験により示した。
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