基本となる種々の電力系統の環境下で協調連系運転を行う制御システムに関しての検討は終えたので、本年度は、インバータの構成法とその制御法を中心に研究を行った。 1.太陽光発電用インバータの波形改善と低ノイズ化:これまでは線間3レベルのPWM制御が主流で、スイッチングノイズの発生が大きく、特に弱い電源系統への連系運転時には連系インバータ間で互いに電磁誘導障害の問題を引き起こす恐れがある。そこで、電圧の制御幅を半減できるマルチレベルインバータの構成法とそのPWM制御法について検討を加えた。インバータの構成法として、1)太陽電池出力の直並列切り替え制御法と、2)3レベルレグと2レベルレグによる組み合わせ制御法および、3)スイッチング制御に伴う転流損失を抑えることのできるスナバレス振幅変調形系統連系インバータについても提案し、これらの有効性を明らかにした。 2.太陽光発電用連系インバータの多機能化:従来の連系運転されるインバータは発電電力を系統ラインに送電する目的だけであり設備の利用率も低かった。今回、配電ラインに繋がれる非線形負荷による高調波電流やこれによるライン電圧のひずみを取り除くアクテイブフィルタ機能の付加手法について検討した。この結果、高調波の完全補償方式はインバータへの負担が大きくなることから、電源品質改善に対して、これまでの連系インバータの電流制御より提案する端子電圧制御が連系用インバータに過大な負担をかけない点で特に適していることを明らかにした。 3.提案制御システムの総合評価と研究成果報告;これまでの研究成果をとりまとめこれからの新しい連系用インバータとしての指針を報告した。
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