研究概要 |
碍子内に電極板対とサーチコイルを埋め込み,配電線の電圧波形並びに電流波形を非接触で計測する本センサには,構成が単純になる半面,電極の寸法・配置・構成,サーチコイルの配置に応じて,検出波形に位相ずれが生ずることが研究代表者等のこれまでの研究で理論的に把握されている。また,この位相ずれは,各センサの配置,形状のみならず,配電線の配置,落雷防止のために設けられている架空地線の位置等にも大きく依存する。 本年度では,先ず,本センサを横引き並びに縦引き配電系に配置した際の電磁界シミュレーションを有限要素法に基づいて実施し,横引き配電系では電流センサーに電気角で最大6[度],縦引き配電系では電圧センサに電気角で最大6[度]の位相ずれが起ることを理論的に明らかにし,この成果を電気学会基礎・材料・共通部門論文誌に投稿して,平成11年6月号に採録が決まっている。 更に,本年度では,横引き一般配電系において,上記のセンサに採用していた非分割電流サーチコイルに生ずる電流波形の位相ずれを改善する目的で,その電流サーチコイルを等分割し,起磁力が互いに逆向きになるように直列接続し,碍子中心軸と対称位置に配置する分割配置型サーチコイル方式を考案し,三相横引き配電系並びに縦引き配電系に設置した場合を想定した有限要素法に基づく電磁界シミュレーションを実施した。また,縦引き配電系においては,電圧センサの配置を再検討し,上記シミュレーションを行った。 その結果,横引き配電系の電流センサにおいて,非分割サーチコイル方式に比べて,最大6[度]の位相ずれを0.04[度]に,縦引き配電系における電圧センサに関しては,電圧センサを構成する電極の配置を再検討した結果,最大5.7[度]の位相ずれを0.01[度]まで抑えられることが理論的に証明された。最後に,以上の知見に基に平成11年度で試作するセンサの設計をシミュレーションによって行い,地元九州内の碍子製造メーカと試作に関する打合わせも完了した。
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