超伝導エネルギー貯蔵装置(SMES)による負荷平準化に関して、その制御方法を提案し計算機によるシミュレーションを平成10年度に実施した。これを受けて、制御法の有効性を確認するために、平成11年度は実験による検証を行った。負荷変動分にすべて対応する制御方式ではSMESとして大容量になり経済性が損なわれる。従って、より小容量でのSMESで平準化の効果を上げるために次のような制御を方針とした。 ○系統に大きな影響を与えないような小さな負荷変動に対しては負荷平準化の制御を行なわないようにする。この領域を無制御幅として設ける。 ○無制御幅は負荷基準値を中心に設ける。 ○負荷基準値は負荷変動の積分要素を加え負荷変動の動きに追随させる。 ○コイル電流の基準値は負荷変動の変化状況により変化させる。 ○無制御幅内にある負荷状態ではSMES電流値を基準値に近づけるあるいは保持する。 ○SMESの電流値と負荷変動量に応じて制御量を変化させ、SMESエネルギーの不足や飽和をさけながら、大きな負荷変動に対して強い制御を行なう。 以上のような制御方式に、これと比較のための単純に負荷変動量に比例した制御を行う方式などを加えて、4つの方式の平準化実験を行った。単純に負荷変動に対応する制御ではSMESエネルギーの不足や飽和から平準化動作ができない状況が生じるのに対して、提案した制御では平準化動作を放棄せずに制御を行うことができた。また、SMES電流値を基準値に近づけるあるいは保つことで、より大きな負荷変動に対応できることも示された。
|