研究概要 |
本研究は,演色性に優れた光源として最近各所で使われ始めたメタルハライド放電ランプの中でも次の世代のランプとして注目されている無電極メタルハライド放電ランプ内の放電を対象として,i)放電中における温度分布及び各種粒子密度分布を精度良く計測し,ii)計測データを基に放電のモデル化を行って放電中での粒子及びエネルギー輸送過程について明らかにすることを目的としています。 従来のメタルハライド放電の温度の評価は,i)水銀の完全蒸発と水銀の分圧がアーク柱内で一定との仮定を用いて,水銀の封入量と光学的に薄い水銀のスペクトル強度の絶対値から求める方法,ii)同一種の光学的に薄い2本のスペクトル線の相対強度から求める方法,iii)原子とイオンの光学的に薄いスペクトル線の相対強度と電子密度から求める方法,等により行われました。しかし,i)環境面の理由から水銀を用いないランプの放電には適用できない,ii)上位準位のエネルギー差の大きいスペクトル線の選択が困難で一般に温度の評価誤差が大きい,iii)電子密度の値をあらかじめ準備する必要が有る,等の問題点が有りました。 そこで,水銀(のスペクトル)や準備された電子密度を必要としない方法として,Sc-Na系のメタルハライド放電に対するSc,Sc+,Naの光学的に薄いスペクトル線の絶対強度の測定値を用いた温度の評価法について検討を行い,この方法が,メタルハライド放電中における温度分布及び各種粒子密度分布の計測に非常に有効で有ることを実験的に確かめました。
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