研究概要 |
近年のパワーエレクトロニクス技術の急速な進歩に伴い,半導体応用機器は幅広く利用され,省エネルギー化,機器の制御性・操作性向上及び設備のアメニティや安全性の進展に大きく寄与している。ところが,半導体応用機器は主な高調波電流の発生源であり,40次までの高調波電流成分が配電網を経由して電源にまでさかのぼって電気設備に悪影響を及ぼすので,高調波問題が配電系統においてクローズアップされている。配電用高圧高調波測定器は,配電線に設置するので,耐雑音性,小型化,無保守,事故探査や保護方式などに無影響,故障時の線路事故回避などの諸条件を満足するとともに,測定精度は±1.0%以下である必要がある。しかし,高圧配電線で直接40次までの高調波周波数域が測定できる高精度・携帯の配電用高圧高調波測定器の開発に関する基礎的な研究は少ない。 本研究では,40次の高調波領域までの高圧配電線の電圧・電流を精度よく(±0.5%以下)測定することができる携帯方式の配電用高圧高調波測定器を開発するためBi_<12>GeO_<20>単結晶のポッケルス効果によって電圧を測定する光電圧センサとR_3Fe_5O_<12>薄膜のファラデー効果によって電流を測定する光電流センサを試作した。また,高圧配電線の電圧を分圧するため,酸化亜鉛素子を用いた酸化亜鉛形分圧器を試作して,それらの諸特性を調べた。さらに,試作した配電用高圧高調波測定器を実線路の6.6kV配電系統の高圧配電線に取り付け,それらの性能を市販の低圧用高調波測定器と比較して評価した。その結果,開発した配電用高圧高調波測定器は,±0.5%以下の精度で高調波測定ができることがわかった。それらの研究成果は,学術論文(合計4編)として公表した。
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