1.背景、目的 筆者らは、市販モータにはない多くの特長を有し、市販モータと同等の出力、効率を有する平面磁路積層形パラメトリックモータの研究、開発を進めている。現在、低速回転領域でパラメトリック発振が不安定となる場合があること、またそのため設計法の確立が困難である等の問題が存在している。本研究の目的は、この問題解決のために、パラメトリック発振の確立機構を明らかにすることである。昨年度、固定子内磁束動作の測定結果から、固定子の内側環状磁路を非対称としてモータを作製すれば、パラメトリック発振が安定化され、モータの出力、効率が大幅に向上することが明らかになった。今年度は、この成果を踏まえ、その非対称性の度合いと、発振安定性、モータ特性の関係について検討を行った。また、非対称性を外側環状磁路に持たせた場合、更には、内側、外側の両方に非対称性を持たせた場合についても同様の検討を行った。 2.本年の研究によって得られた新たな知見 (1)内側環状磁路非対称の場合 発振は安定化されるが、急峻な確立は起こらない。出力、効率に大きな影響を及ぼし、非対称性の度合いが大きい程、それらの値は大きくなる。 (2)外側環状磁路非対称の場合 発振はかなり安定化され、急峻に確立する。出力、効率にはほとんど影響を与えない。発振の安定化に最も有効と考えられる。 (3)内外共通磁路非対称の場合 上記、両者の特性を併せ持つ特性が得られる。 (4)理論的な裏付け 非対称固定子の磁気回路から非線形微分方程式を導出し、非対称固定子が発振の安定性に及ぼす影響を定性的に解明した。非対称固定子の発振安定化の主な理由は、励磁側磁束の共振側への流入による。
|