1.背景、目的 筆者らは、市販モータにはない多くの特長を有し、市販モータと同等の出力、効率を有する平面磁路積層形パラメトリックモータの研究、開発を進めている。現在、低速回転領域でパラメトリック発振が不安定となる場合があること、またそのため設計法の確立が困難である等の問題が存在している。本研究の目的は、この問題解決のために、パラメトリック発振の確立機構を明らかにすることである。 2.研究によって得られた新たな知見 平成10年度は、固定子材質、寸法、形状と発振の安定性とモータ特性について種々の検討を行ったが、固定子の内側環状磁路を非対称とすれば、パラメトリック発振が安定化され、モータの出力、効率が大幅に向上することが明らかになった。 平成11年度は、この成果を踏まえ、その非対称性を内外環状磁路に持たせた場合の発振安定性、モータ特性の関係について検討を行った。その結果、内側環状磁路非対称性は、出力、効率に大きな影響を及ぼし、外側環状磁路非対称性は、発振を安定化し、発振安定性に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。 平成12年度は、この固定子磁路非対称性を磁極の配置、すなわち、磁極間角度を通常の90度より増やした場合の、発振安定性、モータ特性の関係について検討を行った。その結果、磁極間角度を増加させることにより、これまでに現れていた不安定動作の一つである、正転・逆転動作領域が減少し、最終的には消滅することが分かった。また安定領域が大幅に拡大し、発振の安定化に伴い、出力、効率が大幅に向上した。磁極間角度の最適値は、通常の90度より、10度〜15度増やした場合である。
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