研究概要 |
研究代表者らは,数年来電気自動車駆動用電動機として六相極数切換誘導電動機(以下,六相PCIMと略記)を提案し,その基本特性を理論的並びに実験的に検討すると共に,過渡特性のシミュレーション方法なども研究してきた。その結果,電動機の体格を増大することなく定出力範囲の拡大が行えること,定常特性および過渡特性を精度よくシミュレーションできることなどを明らかにしている。しかし,六相PCIMの極数切換時の過渡トルクなどを抑制する極数切換条件などの実用化に向けた研究が強く望まれていた。 本研究は,種々の極致切換条件における六相PCIMの過渡特性を明確にすると共に,よりスムーズな極数切換条件を明示し,一層実用性の高い六相PCIMの設計の基礎を築くことにある。平成10年度は,主として,既に提案した六相PCIMの解析理論の検証,並びにシミュレーションによる過渡特性抑制のための極致切換条件を求めた。また,シミュレーション結果を実験的に検証した。その結果,六相PCIMの電圧をある特定の条件とすれば,過渡電流の増大無しにトルクの変動をかなり押さえた極数切換を行い得ることを明らかにした。これらの成果は電気学会論文誌に投稿準備中である。平成11年度は,平成10年度までの成果に基づき,トルク特性を改善した六相PCIMを試作し,その定常特性並びに過渡特性を明らかにし,実用化に向けた設計の基礎を確立すべく計画している。
|