研究課題/領域番号 |
10650299
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
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研究分担者 |
柳沢 英人 北見工業大学, 工学部, 助手 (70158020)
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20261399)
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キーワード | 陽極酸化膜キャパシタ / Al_3Hf金属間化合物 / Al_3Ta金属間化合物 / 耐熱性 / 容量低減の抑制 / 高誘電率化 / 低損失特性 / 漏れ電流特性 |
研究概要 |
昨年度までの、Al_3HfやAl_3Zr陽極酸化膜キャパシタの検討に引き続き、アルミ-遷移金属系金属間化合物の陽極酸化膜を用いれば、高信頼性で高耐熱な薄膜キャパシタが実現可能となることを確認するため、Al_3Hfキャパシタの熱劣化機構を検討すると共に、Al_3Ta金属間化合物を作製し、その陽極酸化膜キャパシタの電気特性を検討した。その際後者に関連しては、Ta_2Nキャパシタでは、最も高耐熱となるが、得られる容量値は半減するので、特に耐熱性の向上と容量低減の抑制の関係に着目した。得られた結果は、以下の通りである。(1)Al_3Hf陽極酸化膜キャパシタの場合に、500℃で見られた熱劣化の原因は、陽極酸化膜自体の化学状態の変質に依るものではなく、上部電極のAlが酸化膜中へ毛管様に侵入することによる。次にAl_3Taキャパシタの結果を列記する。(2)化学量論的なAl_3Ta金属間化合物膜は、Ta面積比17%のAl-Ta複合ターゲットを同時スパッタすることで作製できる。(3)但し、室温で成膜するとアモルファス膜となり、陽極酸化して得られる容量は相対的に小さいが、350℃成膜すると結晶膜となり、容量の増大を図ることができる。(4)このAl_3Ta陽極酸化膜キャパシタでは、Ta_2Nのそれに次ぐ耐熱性が実現でき、400℃程度までは熱劣化を生じない。(5)容量の減少は、Ta_2NではTaより半減するのに対して、Al_3Taでは微小なガスバブルを含まないため、Taの2割程度までの減少に留めることができる。 以上の結果より、陽極酸化の可能な弁金属からなる合金を用いれば、従来のように窒化物を用いずとも耐熱性を向上させ得て、同時に容量低減も抑制できるので、高信頼性薄膜キャパシタを実現する有用な方策と結論できる。このような着想は、Al-遷移金属以外の合金系へも拡張可能と思われ、今後の展開が期待できる。
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