研究概要 |
ビスマス置換希土類鉄ガーネット薄膜は,青色波長領域で大きな磁気光学効果をもつため,次世代の超高密度光磁気記録媒体として注目されている,しかしこれを実用に供するには,以下の問題を解決する必要がある. (1) 結晶粒径が記録ビット・サイズに比べて十分小さいこと(0.1μm以下). (2) 結晶性がよく,かつ角型性がよい垂直磁化をもつこと. (3) 記録媒体に利用するには,ポリカーボネイト・プラスチック基板上に成膜すること. ガーネット結晶を得るには通常500℃以上の加熱を必要とし,プラスチック基板を利用することはできない.また,高速加熱による熱処理は結晶性および結晶粒の微細化に有効であることが過去の研究で分かっている. これらの問題点を一挙に解決するため,赤外線導入加熱装置を用い,赤外線ビームを光チョパーで,周期の短い間欠光で繰り返し試料表面を照射し超高速度結晶化させる。ただし,下地基板の熱損傷を避けるため,基板背面を水冷する.実際の素子構造は,石英膜の下打ち層,金属反射層および熱吸収層をつけた多層構造を用いる,現在予備実験として軟ガラス上にゲル・コーティング膜を上記の方法で熱処理して高品位ガーネット膜が作成できることを確認している. 更に今後,ガーネット薄膜を誘電多層膜でサンドイッチした磁気フォトニック結晶を作製し基本特性を調べてゆく予定である.
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