研究概要 |
ビスマス置換希土類鉄ガーネット(Bi:RIG)薄膜は青色波長域で大きな磁気光学効果をもち,次世代の超高密度光磁気記録媒体として注目されている.また,光通信技術の急激な発達に伴って,光アイソレータ等の高性能光波制御薄膜素子の開発が嘱望されている.われわれは,この目的にBi:RIG薄膜を用いたフォトニック結晶の有効性を理論的に示してきた.この二つの技術開発のキー・テクノロジーは高品位のBi:RIG薄膜の低温生成であり,本研究で以下のように実験的検証を行った. 1.高品位Bi:RIG薄膜の生成・・・・・・・・・Bi:RIG薄膜は,グリコール・ゲル化法あるいは高周波スパッタ法でも作製可能である.それぞれの作製法で光学的に平滑,良好な磁気および磁気光学特性をもつ高品位Bi:RIG薄膜の作製条件を明らかにした. 2.赤外線間歇照射による高速熱処理によるBi:RIG薄膜の低温生成・・・・・・・・・この熱処理方法は光磁気記録媒体にBi:RIG薄膜を実用化に供するにはポリカーボネイト・プラスチック基板に成膜することが望まれる.またガーネット微細結晶で結晶配向性の揃った薄膜試料を得るのに有用である.また,Bi:RIG薄膜を用いた磁性フォトニック結晶を多層膜構造を壊すことなく作製でき有効性が確認できた. 3.(SiO_2・Ta_2O_5)×5(Bi:RIG)(Ta_2O_5・SiO_2)×5構造の磁性フォトニック結晶を作製し,理論と定量的に一致した磁気光学特性の巨大エンハンスメントと高透過率をもつ素子が作製できることを実証した. 4.磁性フォトニック結晶を用いた波長λ=1.3μmの光アイソレータの試作を行っている.
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