研究概要 |
今年度は、金属/GaN界面および絶縁膜/GaN界面の電子的特性を解明することに重点を置いて研究を進め、以下の成果を得た。 1. ショットキー障壁高の決定機構と電流輸送機構の解明:(1)金属/n-GaN構造のI-V,C-V測定から、界面のフェルミ準位はピンニングされておらず、ショットキー障壁高は金属の仕事関数に大きく依存すること、一方、GaNの表面状態にも影響を受けることを明らかにした。(2)I-V特性の温度依存性の測定と理論解析から、トンネル電流や発生・再結合電流が熱電子放出電流に重畳していること、また、これらの電流成分がI-V測定による実効的ショットキー障壁高を減少させ、C-V測定との不一致を生じさせていることを明らかにした。 2. 絶縁膜/GaN界面の準位密度分布の評価;(1)金属/PCVD-SiO_2/n-GaN構造のC-V特性から、界面準位密度はエネルギー的にU字形であり、その最小値N_<ss,min>は伝導帯寄りに存在すること、表面フェルミフェルミ準位はゲート電圧に応じて禁制帯の上部1/3程度の範囲で移動し得ることを明らかにした。(2)水素雰囲気中、300-500℃の熱処理は界面準位密度の低減に有効であること、熱処理後のN_<ss,min>として、l×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>以下の値が得られることを示した。 3. 金属/GaN界面の熱的安定性と界面制御技術の検討;(1)Ag,Ni/n-GaN試料では、400-500℃の窒素雰囲気における熱処理により、ダイオード特性はむしろ改善されることを明らかにした。(2)金属/n-GaN界面に薄い陽極酸化膜を挿入することにより、ショットキー障壁高が制御可能となることを示した。
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