研究概要 |
今年度は、ウエハーの種類による金属/GaN(M/S)界面特性の差異、ショットキー・ダイオードのリーク電流の起源、界面制御プロセスの開発などに関して研究を進め、以下の成果を得た。 1.結晶成長法による金属/GaN界面特性の差異;MOCVDウエハーを用いた金属/n-GaN試料のI-V,C-V測定を新たに行った結果、MBEウエハーで観測された、(1)障壁高・リチャードソン定数のばらつき、(2)変曲したI-V特性、(3)I-V,C一V測定による障壁高の大きな差異は、MOCVDウエハーにも存在し、結晶成長法による界面特性の差異は基本的に存在しないことを明らかにした。 2.金属/n-GaN試料におけるリーク電流発生機構の解明;I-V-T測定とその理論解析から、上記(1)-(3)はショットキー障壁高の不均一性を考慮した"パッチ"モデルで始めて定量的・統一的に説明されることを明らかにした。 3.金属/p-GaN界面特性の評価;金属/p-GaN試料のI-V-T特性を初めて測定し、(1)室温では、n形,p形ショットキー障壁高の和φ_<bn>+φ_<bp>が、禁制帯幅Egよりも1.4eV以上小さいこと、一方、(2)高温では、φ_<bn>+φ_<bp>はEgに近づくこと、(3)これらは、"パッチ"モデルで説明可能なことなど、新たな知見を得た。 4.M/SおよびI/S界面の制御技術の開発;(1)M/S界面の不均一性を改善する方法として、窒素雰囲気における熱処理が極めて有効であることを示した。(2)I/S界面特性の改善には、水素雰囲気での熱処理が有効であること、一方、窒素雰囲気では、むしろ、特性が劣化することを明らかにした。(3)作製したMS構造およびMIS構造の耐熱性は、いずれも、500℃程度であることを明らかにした。
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