(1)高エネルギー電子線照射中実時間の空間電荷測定装置を実現 宇宙電子線エネルギーはおおよそ10〜300kVであるので、このエネルギーの電子線照射装置を借用して、照射中実時間の空間電荷測定を行った。そのために、照射装置の照射空間に挿入できるサイズの測定装置に改良した。さらに、照射中に蓄積電荷を測定できるように、測定システムはコンピューターによる自動計測ができるように改良した。以上のようにして帯電診断システムを開発し、照射中実時間の空間電荷測定に供した。 (2)高エネルギーの電子線照射中実時間の蓄積電荷分布の測定結果 電子線は10〜300kV間のエネルギーを可変し、照射中実時間のPMMA高分子材料中に蓄積される空間電荷分布を測定した。位置分解能が3%で、時間分解能10秒で、照射中および照射後の実時間の蓄積空間電荷分布経時変化を測定できた。電子線照射エネルギー200kVの場合、1分以内では照射側から浅い位置から電子が蓄積され、蓄積電荷ピーク位置が徐々に深い位置に侵入し、そのピーク位置は220μm、最大侵入位置は315μmとなり約5分で平衡に達していた。このように実時間で電荷蓄積分布を観察できたことは初めてである。
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