研究課題/領域番号 |
10650327
|
研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
今村 正明 福岡工業大学, 工学部, 教授 (40111794)
|
研究分担者 |
中原 基直 福岡工業大学, 工学部, 講師 (00148909)
山口 俊尚 福岡工業大学, 工学部, 教授 (50037925)
|
キーワード | 分子線エピタキシャル / 希薄磁性半導体 / 光磁気特性 / ファラデー回転 / CdFeTe / 光磁気センサ |
研究概要 |
平成10年度は、主に分子線エビタキシャル(MBE)法によるFe系希薄磁性半導体(DMS)CdFeTeの単層薄膜について研究を行い、DMS膜の作成条件とその磁気特性および光磁気特性について新しい知見を得た。 (1) 膜作成では、先にサファイア基板のCdMnTeで結晶性のよい薄膜が得られたCdTe化合物とMnTe化合物をそれぞれの分子線セルで蒸発させる方法をCdTe化合物とFeTe化合物に適用して、種々条件を変えて石英ガラス基板上でCdFeTeの成膜を試みた。しかし、この方法ではTeリッチとなり所望の膜が得られなかった。そこで、CdTe化合物をセルから、Feを電子銃から蒸発させる方法に変更し、CdFeTe膜の作成が可能となった。しかし、石英ガラス基板上のCdFeTe膜は、CdFeとTeの組成が1:1の化学量論的関係とならず、FeがTeのサイトを侵す形となり、結果的に自由電子が発生して金属的性質を持ち、透過率が下がる結果となることが分かった。このことはしかし、MnTeセルを動作させるなどの作成条件の最適化で、克服できると考えている。 (2) CdFefe膜は、Feの濃度によって強磁性的特性と超常磁性的特性とを示した。濃度をさらに薄めることで常磁性的な特性となることも予測されるが、これは確認できていない。得られたCdFeTe膜のファラデー回転はCdMnTe膜のそれより30倍ほど大きく符号が正で、磁性ガーネット薄膜に近い実用的なファラデー回転性能を持つことが分かった。しかし、光透過率が悪いため、性能指数はいまのところそれほど大きくはない。透過率と膜の組成や結晶性との関係を今後詳しく調べて、改善する必要がある。 (3) 膜の応用に関しては、光ファイバやボールレンズなどから構成される光磁気センサの光結合効率および光磁性薄膜素子の線形性を更に詳しく検討し、理論的な透過特性にほぼ等しい性能を持つセンサ構成を実現できた。
|