研究概要 |
平成11年度は,(1)基本アーキテクチャの詳細化,(2)従来の研究手法の整理,(3)新手法の考案,(4)シミュレータプログラムの作成,(5)評価プログラムの作成を目的とした. (1)基本アーキテクチャの詳細化については,本研究で設計対象にしているMSIMD型階層並列計算機について,多段構造キャッシュメモリと2重バス構造を検討した.多段構造キャッシュは,個々のMPUがもつ1次キャッシュとは別に,複数個のMPUが共通にアクセスする2次キャッシュをもつ構造である.現在はまだ方式の提案であるが,今後性能評価を行いたい.2重バス構造は,MPU-LPU間の接続の構造を2重バスとするものである.概略的な性能評価実験によれば,単一バスに比較して約16%の性能向上が図れそうである. (2)従来の研究手法の整理については,本や文献を参考にして検討した. (3) 新手法の考案では,設計チップ上で2重動作と3重動作の方式を定め,性能面で両者を比較評価した.その結果,再試行や誤り回復時間の制限が厳しい場合などは3重動作が有利であるが,一般には2重動作が有利となることを明らかにした.また本研究の基礎研究として,チップ製造後の欠陥回避設計法としてFPGAをチップ内部へ組み込む手法も考えられ,その場合でのFPGA自体の欠陥回避設計法や故障検査容易な論理設計法を考案した.更に,順序回路の固定縮退故障や遅延故障検出の新手法も考案した.(11.研究発表参照) (4) シミュレータプログラムの作成,および(5)評価プログラムの作成では,上記の(1)と(3)の方式を評価するためのプログラムとして部分的に作成し,評価に用いた.
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