21世紀におけるギガビットクラスの高集積電子デバイス(LSI)の実現には、0.1μmルールのリソグラフィー技術の確立が必須である。そこで、現在では、微細レジストパターンの接着信頼性の確保が重要課題となっている。本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)の微細探針による0.1μmクラスのレジストパターン接着力の直接測定技術の確立と接着メカニズム解析を目的とする。 研究実績としては、まず、線幅を細めて100〜200nmクラスのレジスト微細パターンの倒壊特性を解析した。具体的にはKrFエキシマレーザー対応レジストに対して、原子間力顕微鏡の微細探針を用いて、剥離荷重の線幅依存性を明確にした。倒壊特性には約140nmの線幅において、破壊荷重の閾値が存在することを確認した。それが、倒壊時のレジストと基板界面付近に生じる応力集中点の違いによって説明できることを見出した。また、パターン付着力の2次元配置形状の依存性を明確にした。対象とするレジスト線幅は170nmである。L字などの角を有するパターンにおいては、角の存在によって応力が分散される。そして、レジストと基板界面付近では、応力緩和が生じることを確認した。この応力緩和は、パターンの剥離特性に大きく影響しており、実験結果を裏付ける結果となっている。その他にも、精度の高いレジスト表面形状測定、および探針との相互作用解析を行った。そして、付着力解析に必要なパラメーターを最適化するための知見を多く得た。これらの成果により、現在のギガビットクラスの集積度を有するメモリデバイスの開発に貢献するものと考える。今後、線幅が100nm以下のレジストパターンについて、倒壊特性を研究する必要がある。このような微細な領域では、レジストの高分子集合体の形状サイズ効果が顕著になる。これは、パターン側面に存在するエッジラフネスに大きく影響する要因であるが、レジストパターンの付着性に及ぼす影響について注目する必要がある。 これまでの研究において得られた成果は、原著論文16報、国際学会6件、解説3報、国内学会30件として公表した。また、本研究の成果に対して、日本接着学会より、平成11年度の進歩賞を受賞した。
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