本研究では、キラル性と非線形性を共有する高分子の特異な誘電率テンソルを利用したこれまでにない導波路型光デバイスの提案とその動作解析および実験について検討した。 その結果、 (1)キラル高分子と反磁性高分子の共重合体をコアとするスラブ型光導波路がモード維持型光アイソレータとなることを理論的・実験的に明らかにした(JJAPに掲載)。 (2)次いで、キラル高分子PMtMAにNPPやFMAなどの非線形色素をドープしたスラブ型光導波路において、その屈折率を外部電界で制御するとTE-TMモード変換型光スイッチや光変調器になることを理論的に明らかにするとともに、実際にスラブ型光導波路素子作製による動作実験を行い、変調度25〜40%の光変調を確認した。これらの結果は国際会議PAT'99での招待講演やPOF'99で発表し、論文誌Polymer Advanced TechnologyおよびNonlinear Opticsに掲載された。 (3)上の光変調器の高効率化を目的としたチャンネル光導波路化についても素子試作を試み、作製条件の把握も図った。 以上のように、科研費の年度内における研究推進はほぼ達成できたといえる。
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