研究課題/領域番号 |
10650334
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
荒井 英輔 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90283473)
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研究分担者 |
吉田 正幸 吉田半導体研究所, 所長 (80038984)
内田 秀雄 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10293739)
邵 春林 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (20242828)
市村 正也 名古屋工業大学, 共同研究センター, 助教授 (30203110)
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キーワード | 低消費電力LSI / SOI / シリコン / 不純物拡散 / シミュレーションモデル / 拡がり抵抗法 / 埋込酸化膜 |
研究概要 |
次世代の高速・低消費電力LSIとして期待されている薄層SOI(Silicon on Insulator)基板中での不純物拡散シミュレーションモデルを構築するため、SOI基板中不純物分布の測定法の比較検討を行った。 不純物分布の測定法としては、物理的測定法である2次イオン質量分析(SIMS)法、電気的測定法である拡がり抵抗(SR)法と4探針・陽極酸化(4PB)法の計3種類を取り上げ、精度の比較を行った。これらのうち、SIMS法は装置が高価で且つ不純物が電気的に活性か不活性かは決定できない、SR法は最も簡便で高速な実用的手法、また4PB法は最も安価であるが測定値バラツキが大きいなどの特徴を持つ。 実験的検討の結果、1)10^<20>cm^<-3>以上の高濃度領域ではSIMS法と4PB法はほぼ一致する分布を示したが、SR法は他の測定値の1/2〜1/5の低い濃度を示した。2)10^<17>〜10^<19>cm^<-3>の中濃度領域では3種の測定法はよく一致することが分かった。3)p型SOI基板の埋込酸化膜近くの低濃度領域ではSR法はSIMS法より浅い分布形状あるいは高抵抗領域を示した。以上より、高濃度領域では物理的濃度と電気的活性濃度とは一致すること、またSR法が他より低濃度を示す理由としては、10^<20>cm^<-3>以上の標準試料が無いため外挿上の誤差の可能性が大きいと推定される。SR法におけるp型SOI基板の埋込酸化膜境界付近での高抵抗領域は、埋込酸化膜中の正電荷による空乏化が原因であり、試料の斜め研磨による空乏層の電荷の再分布によって分布が浅く測定される事がシミュレーションから確認出来た。 以上の検討から、実用的なSR法を用いてSOI基板中のキャリア分布あるいは拡散分布を求める場合の補正法の指針が得られた。本成果は、SOI基板を用いた今後のLSI開発の基盤となると判断される。
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