研究概要 |
接地電位から常時浮いた(接地電位から絶縁された)状態で使用されるスイッチ(フローティング・スイッチ)について調査し整理しました.大別すると,MOSFETスイッチを接地レベルから直接駆動する方式と,フローティング電源を構成し,トランジスタや論理素子,専用ドライバーを用いて駆動する方式とに分けられます.前者は,(1)パルストランス方法,(2)キャパシタ電圧とPチャネルMOSFETスイッチ方式,(3)MOSFETと抵抗器によるレベルシフト方式,(4)フォトボル直接駆動方式です.後者は,フローティング電源の構成法により,(1)電池,(2)フォトボル,(3)ピエゾ素子を用いて発電する方式,(4)蓄電キャパシタを接地し充電する方式,(5)蓄電キャパシタへ電荷を移送し充電する方式,に分けられることが明らかになりました.直接駆動方式の特長は簡単な回路構成にありますが,回路動作状態に敏感であり信頼性に難点が見受られます.フローティング電源方式は回路の少々の複雑さを除けば,格段の高速スイッチング・高信頼性が実現されることが見込まれます.フローティング電源方式から代表的な3種を選び,ディスクリート部品を用いて構成し,実際に測定し,シミュレーションで回路動作・特性を明らかにしました.それらを回路構成の容易さ・効率・使用上の制約などを分類整理し検討しました.それらのスイッチは,正電圧ライン用(IR2115ハイサイドドライバを用いた回路),長時間ON動作・高速スイッチング可能なもの(MOSFETトーテムポール回路を採用した回路),正負の電圧がかかる(交流)ライン用(MOSFET2個を逆向きに直列に接続し,両方向の電流制御ができる回路)のスイッチです.次年度はこれらを用いて,直流回路及び商用電源回路の高速スイッチの応用例に取り組むつもりです.これらのスイッチを用いて構成されたDC-DCコンバータを論文並びに国際学会に発表しました.
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