研究概要 |
高度情報通信処理システムは高速にデジタル信号処理を行う複数のLSI(大規模集積回路)によって構成される.このとき,可変長符号化等を行うLSIにおいては,符号長が一意に決まっていないので,自由に調整ができる柔軟性の高いLSIの開発が不可欠である.FPGAと呼ばれるLSIには従来のLSIの高密度性とユーザが回路構造を決定できるという特徴がある.本研究では,優れたデジタル信号処理システムを構築するために有効なFPGAを搭載したシステムの設計,および,FPGA上で任意の信号処理回路を実現するための専用CAD(計算機支援設計)ツールの開発を行った.本研究の成果をまとめると以下のようになる. 1.FPGA搭載システムの開発:動的再構成可能FPGAシステムをパラメタライズすることにより自動合成する手法を提案するとともに,そのシステムを対象としたスケジューリング手法を提案し,デジタル信号処理回路を実現するという計算機シミュレーションを行うことにより,これらの有効性を示した. 2.ハードウェア/ソフトウェア協調合成CADツールの開発:2種類のレジスタファイルを持ったディジタル信号処理向けプロセッサの協調合成手法の開発を行った. 3.高位合成CADツールの開発:データの流れに注目した高位合成CAD手法,ならびに,制御処理を主体としたハードウェアを対象とした高位合成CAD手法の開発を行った. 4.レイアウトCADツールの開発:配置と配線を同時に行うFPGA用レイアウト手法の開発を行った. 5.FPGAシステム応用:デジタル信号処理システムボードのうち,ホスト計算機とボードとのインターフェース部分の設計を行った.また,適用例として,動画像符号化アルゴリズムの高速化を考察した.
|