研究概要 |
1.ヘッド磁界分布解析法:記録再生過程の解析にとって必要なヘッド磁界分布の陽関数解析解法(積分方程式/Fourier解析法)を構築した.これらの手法はリングヘッド,MRヘッドなど各種ヘッドに適用できる.これらの結果が2項,3項に導入された. 2.垂直記録の記録再生過程解析解法:1項の解法を基に垂直記録(単層媒体系,2層媒体系)に対するリングヘッド及びMRヘッドの再生特性を解析し,記録再生特性が媒体/ヘッド系の主要パラメータの関数として具体的に定式化され,記録再生特性が記録系と再生系に分離して定量的に評価できるようになった.またこれらの結果は3項の媒体ノイズスペクトル解析にも適用された. 3.媒体ノイズ理論とノイズ源の定量的分離法:媒体ノイズのモデル化とノイズスペクトルを定式化し,磁気クラスターの大きさなどとノイズスペクトルの関係を定量的に明らかにした.またMFM(磁気力顕微鏡)による媒体の微視的磁化状態の実験的解析法を検討し,同手法を定量化した. 4.媒体の材料設計:2項,3項の検討結果から従来のCoCr系媒体よりも大きな磁気異方性を有する媒体が超高密度記録(200Gb/inch^2以上)では必要であることが明らかになった.アモルファスC下地層の上にCo/Pd人工格子膜を形成した複合垂直磁化膜媒体が非常に大きな磁気異方性をもちながら同時に磁化反転機構がCoCr系と同様な磁化回転型となり,記録の高分解能と低ノイズ特性を示すことを見出した.これはこのような新概念のナノ構造人工格子膜媒体が応用面ばかりでなく,磁化機構・記録機構の解明という磁性物理・磁性材料工学の観点からの新しい研究領域への発展を意味する.今後このような新概念媒体の磁化機構・記録機構の解明と同媒体による記録再生系の設計理論,設計手法の構築に発展させたい.
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