研究概要 |
本年度は昨年度に構成した以下に示す3種類の2段階不均一誤り制御符号(UEP符号)の評価を行った. 1.重要部分を1個の固定バイトとみなし,そこに生じたすべての誤りを訂正する符号 2.複数バイトからなる重要部分に生じた1バイト誤りを訂正する符号 3.重要部分に生じたlビットバースト誤りを訂正する符号 これらの符号に対して昨年度開発したプログラムを用いて計算機シミュレーションを行い,符号が所定の機能を有していること,および機能を超えた誤りに対しても重要部分を強く保護することを確認した.また,実用化に備えて復号回路を構成し,その回路量を評価した.第1,2の符号に対してはこれらの符号が計算機メモリシステムに適していることを考慮して並列復号回路を構成し,第3の符号に対しては通信システムに適していることを考慮し逐次復号回路を構成した.その結果,第1,2の符号の復号回路量がそれぞれ1ビット誤り訂正符号,1バイト誤り訂正符号の復号回路量とほぼ等しいこと,第3の符号ではlの値が大きくなると復号回路量が指数関数的に増大することが分かった.さらに,第2の符号に関する研究成果を論文にまとめ電子情報通信学会論文誌に投稿した.本論文は同誌の平成12年2月号に掲載予定である. 一方、本研究を進める過程でUEP符号が無歪データ圧縮における誤り制御に適していることを発見した.無歪データ圧縮では以前出現した系列を参照して圧縮伸長を行うため,圧縮データの前部に生じた誤りほど伸長結果に与える影響は大きい.そこで,圧縮データの前部を後部よりも強く誤りから保護するUEP符号を適用すれば効率よく誤り制御が可能である.また,誤りの影響は圧縮前と伸長後のデータの差分を取ることにより定量的に評価可能であるので,符号導入による効果も定量的に評価可能である。
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