本研究では異なる重要度を有する複数の部分からなる語に適した不均一誤り制御符号を提案した。具体的符号としては、実用的観点より簡単な2レベルの重要性を有するモデルを採用し以下に示す符号を構成した。 1.重要部分を1個の固定バイトとみなし、そこに生じた全ての誤りを訂正する符号を4種構成した。この符号は重要部分と他の部分に異なる誤り制御機能を割り当てた符号であり、UEC符号と呼ぶ。本符号の符号長限界、復号法、復号回路量を求め、得られた全ての符号が限界を満たす最適符号であり、既存の1ビット誤り訂正・2ビット誤り検出符号の1.5倍以下の回路量で並列復号できる実用的な符号であることを確認した。 2.複数バイトからなる重要部分を1バイト誤りから保護する符号を5種構成した。本符号は他に生じた1バイト誤りが重要部分を誤訂正しないことを保証することによって重要部分を上記のUEC符号よりも強く保護している符号であり、UEP符号と呼ぶ。本符号の符号長限界を求め、得られた符号が限界に近い優れた符号であることを確認した。計算機シミュレーションにより本符号の機能外誤りの対する誤訂正率を求め、本符号が重要部分を誤訂正する確率が極めて低いことを示した。 3.重要部をバースト誤りから保護する1ビット誤りを訂正符号を構成した。既存のバースト誤り訂正符号を利用した符号構成法および逐次復号法を提案し、限界に近い優れたバースト誤り訂正符号を利用する場合には本提案の符号が限界に近い優れた符合となることを確認した。 一方、本研究を進める過程でUEP符号が無歪データ圧縮における誤り制御に適していることを発見した。すなわち、無歪データ圧縮では圧縮データの前部に生じた誤りほど伸長結果に与える影響は大きいことを考慮して前部を後部よりも強く誤りから保護するUEP符号を適用すれば効率よく誤り制御が可能である。
|