研究概要 |
本研究は、本研究代表者が行ってきた代数曲線符号の設計距離までの硬判定高速復号法(BMSアルゴリズム)を、消失・誤り訂正を含む軟判定復号法のより強力な手法である一般化最小距離復号法に、その高速性を生しつつ拡張することが主要な目的である。従来のRS符号等に対しては高速な一般化最小距離複号が可能であり、他の研究者により既に複数のヴァージョンが与えられていた。ところで、現在までの代数幾何符号(代数曲線・曲面符号)に対する研究成果を整理する中で、これらの符号が復号法も含めて、従来の代数的符号を1次元から多次元へ自然に拡張したものであるという認識を得た。この観点から、サーヴェイ論文を論文集Grobner Bases and Applications、および、Codes,Curves and Signalsに出版し、さらに、解説記事を電子情報通信学会誌、および、数理科学に掲載した。一般化最小距離復号も1次元から多次元への拡張の中で考えることができるが、そのようなより広い視野の中で、まず、1次元代数的符号の高速な一般化最小距離復号法を我々の立場で整理し、電子情報通信学会論文誌に出版した。次に、今回の主題である多次元符号の一般化最小距離復号法の中核となるべき「代数曲線符号の消失・誤り同時訂正の高速アルゴリズム」に関する、アメリカ、デンマークの研究者達との共著論文をIEEE Transactions on Information Theoryに出版した。しかし、その単純な反復として一般化最小距離復号を実現するだけでは、最終的な高速性が損われてしまう。そこで、このような多数回の反復における無駄な計算を如何に消滅するかが残された課題となっている。特に、代数曲線符号の場合、未知シンドロームを決定するための多数結論理を伴うことが、この困難の源である。これを解決するために、BMSアルゴリズム適用の前、または、後から消失を追加する方法、さらには、予め与えられた消失に対するBMSアルゴリズムの結果から、消失を削減する逆向きのアルゴリズム等、様々な変種を導入し、これらの応用によって問題の核心に迫るべく検討を重ねている段階である。これらの試みについては、1999年11月、Hawaii大学で開催されるAAECC-13 Conferenceにおいて発表すべく論文を投稿したばかりである。
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