研究概要 |
本研究は,ネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムの実現することを目的とする.ネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムは,移動局のみならず基地局も移動することを許し,移動局も中継機能を有する.つまり,ネットワーク構造を積極的に変化させることができるシステムである.従来のモバイル情報通信システムにおいては,例えばセルラ方式のように,移動局は常に固定網と接続された基地局と通信を行なうことを前提としており,例え近隣に相手が存在していても直接通信することはできず,基地局を介して通信を行なう必要があった.この意味で上記のネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムは従来のモバイル情報通信とは本質的に異なる.ネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムを実現するための,従来の通信網理論,通信網制御理論の範疇を越えた理論の構築と実際のシステムの構築が本研究の大きな目的である. 平成11年度は,ネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムに階層構造を導入するため,クラスタリングを行なうことを考え,Lowest-IDクラスタリングアルゴリズム,最大次数クラスタリングアルゴリズムの特性を詳細に検討し,クラスタリングアルゴリズムがネットワーク構造に与える影響を明らかにした.また,前年度から継続して,無線LAN装置を基本としたネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムのネットワークアーキテクチャの検討を行ない,プロトタイプの開発を行なった.また,ネットワーク構造がダイナミックに変化するモバイル情報通信システムにおけるネットワーク制御手法の開発を前年度より継続して行ない,いくつかの成果を得た.
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