本研究の目的は、車々間通信を用いて交通事故を防止することである。 まず、交通事故の分析をおこなったところ、出会い頭衝突事故が27.2%で最も多く、そして追突事故が24%であった。ここで追突事故防止のためには見通し内での通信で良いが、出会い頭事故を防ぐためには見とおし外通信ができることが必要となる。よって電波の回折を利用した出会い頭事故防止方法は追突事故防止にも適用できるので、交通事故を大幅に減らすことができる。 次に事故防止には早くブレーキを踏むこと、すなわち1秒早く踏めれば90%の事故を防ぐことができるといわれています。車々間通信で相手の車の速度と位置の情報を得て、衝突の可能性を計算し、運転手にブレーキを踏むよう警告を出し、これが無視されれば強制ブレーキをかけることにより事故を防ぐことができる。よって車の位置と速度の計測、車々間通信、予測計算と警告及び強制ブレーキとから成る事故防止方法を提案した。 次に交差点における電波の回折による減衰量を実測した。その結果、距離100mの地点でVHF帯(30〜100MHz)の減衰量が50dBであった。2.4GHz帯では回折とマルチパスによる減衰が大きく、適当でないことが分かった。サービスエリアを100mとして100台の車と短時間に通信するために、アドレス割付が不要でネットワークでない放送局型が良いことが分かり、FDM-GMSK方式を提案した。 そしてFDM-GMSKの送受信機のスペックを示し、100チャネルの受信機としてFFTを用いた並列復調方式を提案している。また、FH-SS方式は追突防止のように車の数が少ない場合に使用可能である。また初年度の研究ではFH-SS方式の送受信機の開発を目指しており、ホッピング周波数が256KHzの高速シンセサイザを完成させた。
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