平成10年度の研究計画に基づいて研究を遂行し、以下のような知見が得られた。 1. 高次のニューラルネットワークによるダイナミックス (1) 高次ニューラルネットワークを時系列パターンの認識に適用することにより、これまでのニューラルネットワークでは実現できない問題を解くことができた。 (2) 高次ニューラルネットワークを相互相関の連想記憶問題に適用すると、これまでのニューラルネットワークより高い連想能力を示すことを理論的に明らかにした。 (3) ニューロンの出力関数を適応的に変化させる方法を提案し、有効性を示した。 2.高次のニューラルネットワークのパターン分離能力について (1) 二重螺旋問題のような数値シミュレーションにより、高次ニューラルネットワークが、これまでのニューラルネットワークよりパターン分離能力が優れていることを示した。 (2) 高次のランダム神経回路網を使って、積の次数kに対するパターン分離能力についての一般式を与え、高次モデルの優位性を示した。 (3) 三層のニューラルネットワークを使って、送電線の塩害汚損診断システムの構築に応用して、次数kの増加により能力の上昇を検証した。 これらの結果を基に、平成11年度は、さつまいもを含む農産物の良、不良診断システムの構築を行いたい。
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