研究概要 |
本研究は,セル(ニューロン)が局所的に接続された連続時間型セルラーニューラルネットワーク(CT-CNN)と離散時間型セルラーニューラルネットワーク(DT-CNN)の時空間ダイナミクスによって網膜系情報処理のひとつとして重要な解像度階調変換を行うことを目的としている.新しい階層構造のCNNでは,各画素に配置された2値のinner cellsの局所的ダイナミクスによって多値量子化関数を2値空間集合として表現すること,そして,画素面積内のセル数を可変にすることによって,階調と解像度を制御してデジタル画像を得ることができる.さらに,与えられた解像度に対する多様な画像処理は,量子化値とAテンプレートの重みとの積和演算とから成る大局的ダイナミクスによって得られる.従って,大局的ダイナミクスと局所的ダイナミクスの両方を階層的に使って,輝度,解像度,色表現能力を可変にできる高品質なデジタル中間値表現を得ることができる. 平成12年度では,本研究で開発したCNNアルゴリズムを実行する大規模シミュレーションプログラムを作成し,実際の解像度階調変換可能なシステムを構築し,画像の品質を人間の視覚特性を考慮して評価した.そして,実際に画像処理を行うことができるCNNのチップを20万ゲートFPGAで製作し,実際に動作することを確認した.その成果は,2001年度電子情報通信学会論文誌(D)に掲載されることが決定した. また,CNNのエネルギー関数の最小化により,情報量の少ない出力情報と情報量の多い目的情報(環境情報)とのひずみ誤差をできる限り小さくできるように,経験的または学習的に重み値を解析的に設計し,いろいろな画像処理への応用を考察することができた.
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