2個の同様な位相同期回路の同期と間欠性について力学系の立場から研究し、次のような知見が得られた。 1、 この系には同期状態をあらわす低次元の不変多様体すなわち超平面が存在し、この超平面上にカオスが安定に存在する状態がカオス同期をあらわす。 2、 超平面上のカオスの安定性を横断リアプノフ指数を用いて評価すると2つのPLLの結合度とカオスの強さに関係したパラメータ、シグマを増加させるに従い、横断リアプノフ指数は負から正に変化し、カオス同期の破れ、すなわち間欠性みられるようになる。この結果力オスが強くなると同期の破れが起こるようになり、これを押さえるにはより強く結合する必要があることが分かった。 3、 この間欠性の示す性質として、バースト間隔の頻度分布であるラミナー分布を調べると、-3/2乗則を満足するオンオフ間欠性であることが分かった。そして、これらの結果は、電子回路による実験でも確認された。 4、 今後、2つのPLLにある程度の特性の違いがある場合について、どの程度のカオス同期が可能かについて検討したい。
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