研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,送信装置の試作と改良に取組んだが,残念ながら,年度当初に検討したM系列符号から導かれる新たな系列を利用するため,M系列発生器に付加回路を予め加えた設計を試みたが,2GHzで動作する論理回路の設計に手間取り,製作を終了する事が出来なかった.このため,今後もその検討を続行し,鋭意,装置完成に向け研究を継続する. 一方,本研究の成果を応用する屋内無線LANシステムの検討を行った.これは,これまでの計算方式を更に拡張し,屋内全体に瓦って計算機シミュレーションを可能にするもので,本年度,導入した仮想並列計算機を利用する事で,可能になった.これまで長大な計算時間の必要な計算機シミュレーションを32台の計算機を同時に使用する事で,計算時間を短縮し,耐多重波変調方式を適用した10Mb/sを超える無線LAN方式の検討を行う事が可能になった.その結果,従来方式では指向性アンテナを用いて,見通し伝搬を確保しなければ,10Mb/sを超える通信を屋内全体に瓦って実現する事は不可能である事が,判明したが,報告者らが提案する耐多重波変調方式(PSK-RZ)と人工的なフェージング(Active Fading)を組合せる事で,部屋全体に誤り率1×10^<-5>を確保できることを明らかにする事が出来た.これには遅延波を含めた屋内電波伝搬特性を含めた動的な計算機シミュレーションの実現で可能になったものであり,本研究の成果として期待される屋内におけるサブナノ秒代の伝搬遅延特性測定結果の応用が期待される.
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